遺贈とは何か
遺贈とは、遺言によって、被相続人が自分の財産を特定の人や法人に無償で譲り渡すことをいいます。最大の特徴は、相続人以外の人にも財産を渡せるという点です。(根拠条文:民法第964条以下)
遺贈と相続の違い【混同されやすいポイント】
| 項目 | 遺贈 | 相続 |
|---|---|---|
| 財産を受け取る人 | 相続人・相続人以外 | 相続人のみ |
| 根拠 | 遺言 | 法律 |
| 取得の方法 | 遺言の指定 | 法定相続 |
| 拒否できるか | 放棄可能 | 相続放棄が必要 |
👉 「遺言がなければ遺贈は成立しない」点が重要です。
遺贈で財産を受け取れる人(受遺者)
遺贈を受け取る人を受遺者(じゅいしゃ)といいます。
受遺者になれる人
- 相続人
- 内縁の配偶者
- 孫・甥・姪
- 友人・知人
- 会社・法人・NPO
- 国・自治体
👉 法定相続人である必要はありません。
遺贈の種類【包括遺贈と特定遺贈】
① 包括遺贈とは
遺産全体または一定割合を与える遺贈
例
- 「全財産の3分の1をAに遺贈する」
- 「遺産の半分をBに与える」
特徴
- 相続人に近い扱い
- 借金も引き継ぐ可能性あり
- 相続放棄と同様の放棄手続きが必要
② 特定遺贈とは
特定の財産を指定して与える遺贈
例
- 「○○市の土地をCに遺贈する」
- 「○○銀行の預金100万円をDに遺贈する」
特徴
- 指定された財産のみ取得
- 借金は原則引き継がない
- 放棄は簡単(意思表示のみ)
👉 特定遺贈の方が圧倒的に多く感じます。
遺贈のメリット
- 相続人以外に財産を残せる
- 内縁関係・世話になった人へ感謝を形にできる
- 財産の行き先を明確にできる
- 寄付・社会貢献が可能
遺贈のデメリット・注意点
- 相続人とのトラブルになりやすい
- 遺留分侵害のリスク
- 登記・名義変更が必要
👉 専門家関与なしは危険な制度です。
遺贈と遺留分の関係
遺贈でも遺留分は守られる
遺贈によって、相続人の遺留分を侵害した場合、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
例
- 全財産を第三者に遺贈
- 特定の相続人だけを優遇
👉 遺贈=自由ではない点に注意。
遺贈の手続きの流れ【相続開始後】
- 被相続人死亡
- 遺言書の確認・検認(必要な場合)
- 遺言執行者の就任
- 受遺者の意思確認
- 名義変更・登記
- 税務申告
遺贈を拒否(放棄)することはできる?
特定遺贈
- 可能(単純な意思表示でOK)
包括遺贈
- 相続放棄と同様
- 家庭裁判所への申述が必要
不動産の遺贈と登記手続き
登記が必要
- 遺言書
- 登記原因証明情報
- 相続関係書類
- 固定資産評価証明書
👉 司法書士が関与する典型業務です。
遺贈と贈与・死因贈与の違い
| 項目 | 遺贈 | 贈与 | 死因贈与 |
|---|---|---|---|
| 効力発生 | 死亡時 | 生前 | 死亡時 |
| 方式 | 遺言 | 契約 | 契約 |
| 書面 | 必須 | 任意 | 原則必要 |
実務上よくある遺贈トラブル
- 相続人が遺言に納得しない
- 遺留分請求
- 不動産の評価争い
- 受遺者が手続きを知らない
司法書士が見る遺贈対策のポイント
- 特定遺贈を基本に設計
- 不動産は評価・税務も考慮
- 遺言執行者の指定が必須
- 生前対策と組み合わせる
まとめ|遺贈は「想い」を実現する制度
- 遺贈は相続人以外にも財産を残せる強力な制度
- 反面、法的・税務的リスクも高い
- 専門家と設計することでトラブルを防げる
遺贈を考えたら、必ず司法書士・専門家へ相談しましょう。

