相続登記の義務化における「正当な理由」とは?
相続登記は、相続を知った日から3年以内に行うことが義務付けられています。ただし、やむを得ない事情(正当な理由)がある場合には、期限内に登記できなくても過料(10万円以下)の対象にならないとされています。
法務省のホームページには「正当な理由」に該当する事項としてQ&Aに紹介されておりますので、こちらもご確認ください。→法務省Q&A
正当な理由と認められる可能性が高い具体例
① 相続人が多数で、遺産分割協議が進まない場合
具体例
- 相続人が10人以上いる
- 連絡が取れない相続人がいる
- 海外在住の相続人がいる
👉 協議成立までに相当な時間を要するため、正当な理由と判断される可能性が高いケースです。
② 相続人の一部が行方不明・生死不明の場合
具体例
- 何十年も音信不通の相続人がいる
- 住所不明で書類が送れない
👉 不在者財産管理人選任など、家庭裁判所手続きが必要になるため正当な理由になりやすいです。
③ 相続関係が極めて複雑な場合(数次相続)
具体例
- 相続登記を放置したまま二次・三次相続が発生
- 被相続人が何人も連続して亡くなっている
👉 戸籍収集・相続関係確定に時間がかかるため、正当な理由に該当する可能性が高いです。
④ 遺言の有効性をめぐって争いがある場合
具体例
- 遺言書が複数ある
- 遺言無効訴訟が提起されている
- 偽造・変造の疑いがある
👉 権利関係が確定しないため、登記ができない正当な理由になります。
⑤ 遺産分割調停・審判が係属中の場合
具体例
- 家庭裁判所で遺産分割調停中
- 審判結果待ち
👉 結果が確定しない限り登記できないため、正当な理由として明確です。
⑥ 相続登記に必要な資料が取得できない場合
具体例
- 古い戸籍が廃棄・滅失している
- 外国籍相続人の書類取得に時間がかかっている
👉 客観的に見てやむを得ない事情があれば、正当な理由と認められる可能性があります。
⑦ 相続人申告登記を行っている場合
相続登記ができなくても、
- 相続人申告登記を期限内に申請
していれば、義務違反にはなりません。
正当な理由として認められにくい具体例
次の理由は、原則として正当な理由に該当しないと考えられます。
❌ 忙しくて時間がなかった
❌ 手続きが面倒だった
❌ 費用をかけたくなかった
❌ 相続登記義務化を知らなかった
❌ 不動産に価値がないと思っていた
👉 これらは自己都合と判断される可能性が高く、過料リスクがあります。
実務上の重要ポイント
- 正当な理由があるかどうかは個別判断
- 客観的な事情・証拠が重要
- 迷ったら相続人申告登記だけでも先に行う
👉 「何もしない」が一番危険です。
まとめ|正当な理由があっても「放置」はNG
正当な理由があっても、
- 何もせず放置
- 法務局へ一切の対応をしない
状態はリスクが高いです。相続登記ができない事情がある場合は、相続人申告登記や司法書士への相談を早めに行うことが最善策です。
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