「遺言を書くならどっちがいい?」「自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは?」「費用はどれくらい違う?」相続トラブルを防ぐために遺言を作成する方が増えています。しかし、遺言の種類を正しく理解せずに作成すると無効や紛争の原因になります。
この記事では、司法書士の視点から自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを解説します。制度の仕組み、費用、効力、手続きの流れ、失敗事例、どちらを選ぶべきかまで網羅します。
遺言書の種類とは?
日本で一般的に利用される遺言は主に2種類です。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
※秘密証書遺言という方式もありますが、実務上はほとんど利用されません。
自筆証書遺言とは?
■ 概要
遺言者が全文を自筆で書く遺言です。
必須要件
- 全文自書(※財産目録はパソコン可)
- 日付
- 署名
- 押印
一つでも欠けると無効になる可能性があります。
■ メリット
✔ 費用がほぼかからない
✔ いつでも作成可能
✔ 内容を秘密にできる
■ デメリット
⚠ 書式ミスで無効リスク
⚠ 紛失・改ざんの危険
⚠ 家庭裁判所の「検認」が必要
公正証書遺言とは?
■ 概要
公証役場で公証人が作成する遺言です。
作成の流れ
- 原案作成
- 公証役場で打合せ
- 証人2名立会い
- 公証人が読み上げ
- 署名押印
■ メリット
✔ 無効になる可能性が極めて低い
✔ 原本が公証役場で保管される
✔ 検認不要
✔ 紛争予防効果が高い
■ デメリット
⚠ 費用がかかる
⚠ 証人2名が必要
⚠ 内容を完全秘密にしづらい
費用の違い
自筆証書遺言
基本的に無料(紙・印鑑代のみ)(※法務局保管制度利用時は3,900円程度)
公正証書遺言
財産額に応じて数万円〜数十万円。例えば、財産5,000万円 の場合 約5〜7万円程度。(+証人費用・専門家報酬がかかる場合あり。)
効力の違い
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 無効リスク | 高い | 低い |
| 保管 | 自宅等 | 公証役場 |
| 検認 | 必要 | 不要 |
| 安全性 | やや低い | 非常に高い |
検認とは?
自筆証書遺言は家庭裁判所で検認が必要です。目的としては以下が挙げられます。
- 偽造防止
- 内容確認
※検認は有効性を判断する手続きではありません。公正証書遺言は検認不要です。
法務局保管制度とは?
2020年開始の制度。自筆証書遺言を法務局で保管できます。
メリット:
✔ 紛失防止
✔ 検認不要
✔ 形式チェックあり
ただし、内容の有効性までは保証されません。
よくある失敗事例
ケース1:日付が抜けていた
→ 無効
ケース2:財産特定が曖昧
→ 登記できない
ケース3:押印漏れ
→ 無効
ケース4:遺留分対策をしていない
→ 相続トラブル
どちらを選ぶべきか?
自筆証書遺言が向いている人
✔ 財産が少ない
✔ 相続人が少ない
✔ 紛争リスクが低い
公正証書遺言が向いている人
✔ 財産が高額
✔ 不動産が複数
✔ 事業承継がある
✔ 相続人間に不仲がある
✔ 再婚家庭
実務上は、公正証書遺言の方が安全です。
遺留分との関係
どちらの遺言でも、遺留分は侵害できません。遺留分侵害額請求の対象になる可能性があります。事前対策が重要です。
司法書士に相談するメリット
✔ 原案作成サポート
✔ 財産整理
✔ 不動産表示確認
✔ 遺留分リスク分析
✔ 公証役場との調整
遺言は「書くこと」より「正しく書くこと」が重要です。
まとめ|安全性重視なら公正証書遺言
自筆証書遺言と公正証書遺言の違いをまとめると:
- 手軽さ → 自筆証書遺言
- 安全性 → 公正証書遺言
将来の相続トラブルを防ぐなら、公正証書遺言がおすすめです。
遺言作成をご検討の方へ
- 自分に合う遺言方式を知りたい
- 費用を知りたい
- 相続トラブルを防ぎたい
そのような方は、専門家へご相談ください。

