遺産分割協議書の作成

相続人の間で、被相続人(亡くなった方)の財産をどのように分けるかを協議・話し合い(遺産の分割)を行い、遺産分割協議書として書面を作成します。

戸籍の証明書の取得の記事でもお話ししましたが、相続登記には被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍が必要で、その理由の一つとして相続人を明らかにするためと述べました。遺産分割協議は相続人全員による協議が必要となりますので、戸籍謄本で相続人となる者全員を調べる必要があるということですね。一部の相続人が遺産分割協議から除外されている場合には遺産分割協議は無効となりますのでご注意ください。

遺産の分割の方法や、遺産分割協議書の作成について専門家に相談したい場合は、法律の専門資格者や各種の法律相談窓口にお問い合わせください(注)。

相続人の一部が所在不明ということもあると思いますが、所在不明の相続人を除外した遺産分割協議も無効になります。その場合、所在不明者の不在者財産管理人を家庭裁判所で選任してもらい、その管理人に遺産分割に参加してもらうという手続きが必要となります。

遺産分割協議の対象になる権利

民法896条には、相続人は原則として被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると規定しております。では、ここで遺産分割の対象となる権利を整理しておきたいと思います。

不動産

不動産の所有権が相続の対象となりますので遺産分割の対象になりますし、共有持分も同様です。不動産を賃貸していたような場合には、賃借権は賃貸人や賃借人の死亡により終了しませんので、賃借権も遺産分割協議の対象となります。

動産の所有権も相続されますので遺産分割協議の対象となります。ちなみに、金銭も動産として遺産分割の対象となりますので注意してください。相続開始の時に被相続人の金銭を保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできないということです。(最高裁平成4年4月10日判決)遺産分割の中で決めていくということになります。

債権も原則、相続人に相続されます。注意が必要なのは、預貯金債権についても遺産分割の対象になるということです。(最高裁平成28年12月19日決定)以前は、預貯金債権は銀行等に対する金銭債権ですから、相続開始により当然分割され遺産分割の対象とならないとされていましたが、上記の通り平成28年に最高裁の考え方が改められたため、今現在は遺産分割の対象となります。

特定財産承継遺言(特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言のこと。)がされた場合、特段の事情のない限りは「遺産分割方法の指定」と解されておりますので、その特定の財産は遺産分割の対象とはなりませんので、被相続人死亡によりただちに特定の相続人に承継されるとされております。

ですので、特定財産承継遺言がなされた特定の財産は、遺産分割から除外されることになりますので、それ以外の財産が遺産分割協議の対象になるということですね。

「債務の調べ方」「相続税計算時の法定相続人の数」の記事でも簡単に触れましたが、生命保険金はプラスの財産ですので相続税算定時の相続財産に加入されます。しかし、遺産分割の対象とはなりませんのでご注意ください。これは、受取人に指定された人の財産となるためです。

ちなみにですが、生命保険金や死亡退職金には非課税枠が存在し、「法定相続人の数×500万円」が非課税枠となりますので、例えば、相続人2人であれば、「2人×500万円」となり、1000万円は非課税となります。ですから、生命保険金や死亡退職金が1000万円までであれば相続税の対象にならないということです。

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