相続税計算時の法定相続人の数

先週、久しぶりにサスペンスを見ていまして、その中で刑事(A)と犯人(F)の会話の中でこういうものがありまして・・・

このサスペンスの設定を書きますと、B:父、C:母、D:長男(実子)、E:次男(養子)、F:三男(養子)で、犯人であるFがEを殺害したわけです。Bが亡くなりその相続についてのお話でした。

刑事A

なぜお兄さん(E)を殺害したのですか?

犯人F

兄貴(E)がいたら俺が相続人になれないじゃないか!!

刑事A

・・・・・・・・・・・どういうことですか??

犯人F

養子は1人までしか相続人になれないだろーだから殺害したんだ!

・・・・・・・・

このような会話がありましてね、ブログにうってつけかと思い記事にしたわけです。

この犯人のFさんの言っていることは正しいのでしょうか?

Fさんは勘違いをされています。

このサスペンスの内容は、「誰が相続人となるか」という民法上のお話です。民法という法律に誰が相続人になるかということが規定されていまして、今回、自分の父(B)が亡くなるわけですから、その子供であれば第一順位で相続人になるわけです。勿論、子供の数は関係ないです。

では、何と勘違いしたのでしょうか?

皆さん、こんな話は聞いたことがないでしょうか?

「相続人の数が増えると相続税の節税になるから、子供を増やそう。」

どういうことかと言いますと、相続税には基礎控除額というものがありまして、その基礎控除額は「3000万円+(相続人の数×600万円)」となります。

ですので、例えば、相続人が3人であれば、「3000万円+(3人×600万円)=4800万円」となって、被相続人の遺産が4800万円までであれば、相続税はかからないということになります。

ですから、相続人の数が増えれば増えるほど基礎控除額が増えますので、節税になるということなのです。

養子をとった場合でも相続人は増えますので、節税対策になるわけですが、その場合には制限があります。

被相続人に実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人までです。

詳しくはこちらをご覧ください。→国税庁「相続人の中に養子がいるとき」

今回のサスペンスの内容は、BとCには実子であるDが存在します。しかし、それは相続税の計算をする場合の話であり、民法上は、当然にFも相続人です。Eがいてもいなくても相続人です。

Fは民法の法定相続人と相続税の法定相続人の規定を勘違いしていたということになります。

また、サスペンスでは触れらていませんでしたが、Fは今回の相続で、相続欠格事由に該当しますし、また、Eの相続についても相続欠格となりますから、結局、相続財産は取得できないということになりますね。

※僕は司法書士ですので、具体的な税務相談に乗ることはできません。納税額の計算や税申告の方法などの税務相談は、税理士法により税理士の独占業務とされておりますので、お近くの税理士の先生にお問い合わせいただければと思います。

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